アレルギー科
本来、私たちの体には、外から体内に侵入してくる様々な病原性微生物を防御してくれる免疫システムがあります。
しかし、この免疫システムに異常をきたすと、元々私たちの体にとって無害であったものが有害なものとして認識されてしまい、過剰な免疫反応が起こってしまいます。この過剰な免疫反応により、様々な症状を引き起こす疾患をアレルギー疾患と総称しています。
皮膚科領域で代表的なアレルギー疾患としては、治りにくいかぶれ・湿疹やアトピー性皮膚炎、じんましんなどが挙げられます。
よくあるお悩み
接触皮膚炎
アトピー性皮膚炎
蕁麻疹
金属アレルギー
食物アレルギー
花粉症
主な取り扱い疾患
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かぶれ・湿疹
症状
原因物質が接触した部位にかゆみを伴う皮疹(赤みやぶつぶつ、水ぶくれ、カサブタなど)がみられます。
原因
原因物質の毒性により誰にでも起こりうる刺激性のものと、原因物質に感作されてしまった人にのみ発症するアレルギー性のものに分かれます。なかなか治りにくいかぶれ・湿疹の中には、アレルギー性のものも多く含まれており、本人が自覚されていないことも多々あります。
検査
パッチテスト(パッチテストパネル®)にて原因の特定を行います。
※パッチテストとは、一定数のアレルゲンをあらかじめ塗布した製品を背中もしくは二の腕に貼り付け、アレルギー反応が出るかどうかを判定する検査になります。この検査を行う場合は、貼付する日(day0)、48時間判定(day2)、72時間判定(day3)、1週間後判定(day7)の計4日来院いただく必要がございます。また、汗をかくシーズン(7-9月)はパッチテストが出来ません。治療
原因物質が明らかになった場合は、その物質との接触を断つことが重要です。皮疹にはステロイド外用薬による外用治療、かゆみには抗ヒスタミン薬による内服治療を行います。
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アトピー性皮膚炎
症状
かゆみのある湿疹が左右対称性に慢性(乳児:2ヶ月以上、その他:6ヶ月以上)かつ反復性に経過するものをアトピー性皮膚炎と定義します。湿疹の分布については、年齢により特徴があり、乳幼児期では頭や顔、小児期では肘や膝裏、思春期・成人では上半身から生じることが多く、悪化すると全身に拡大します。
原因
遺伝的要因により、生まれつき皮膚のバリア機能が低下(乾燥肌)していることがベースにあり、様々な外的刺激が作用して慢性の皮膚炎を形成するといわれています。
検査
血液検査で、アレルギーに関与する好酸球や血清IgEが高値となることが多いです。また、ダニやハウスダストなどの特異的IgEも陽性となりやすいです。アトピー性皮膚炎の病勢を反映した血清TARC値を測定することにより、アトピー性皮膚炎の現在の状態を把握することができます。
治療
基本的に、まずは外用薬による治療が中心となります。外用薬の中には、抗炎症作用のあるステロイド外用薬やステロイド以外の抗炎症外用薬も近年多く発売されております。もちろん、保湿剤による全身の保湿も非常に重要な治療になります。これらの外用薬をうまく・しっかり・正しく使用することでアトピー性皮膚炎を抑えることは可能です。そして、皮疹が改善した後は、プロアクティブ療法(予防目的に外用薬を間欠的に外用する治療法)を行い、皮膚炎が再燃しないように取り組んでいきます。
ただし、中にはどうしても外用薬だけではコントロールが難しい方や、副作用の点から外用薬を十分に使用することが難しい方も一定数いらっしゃいます。そのような方には、近年、生物学的製剤と呼ばれる注射薬やJAK阻害薬と呼ばれる内服薬も出てきており、以前よりもアトピー性皮膚炎を寛解・維持することが目指せる時代となってきております。
当院では、アトピー性皮膚炎の治療について非常に力を入れております。アトピー性皮膚炎の患者さん一人一人と向き合い、寛解そして維持を目指して一緒に治療できればと考えております。 -
じんましん
症状
突然、かゆみのある隆起した赤み(虫刺されやみみず腫れのような)が生じます。一つ一つの皮疹は、通常数時間〜1日以内に跡形もなく消退するのが特徴です。全身の皮膚に生じる可能性がありますが、中でも、のどの粘膜に生じると息苦しさを自覚することもあります。
症状が6週間未満で終息するものを急性じんましん、6週間以上症状が持続するものを慢性じんましんと呼びます。慢性じんましんになってしまうと、治癒するまで長期間かかることもありますので、早期での適切な治療が重要になります。原因
約70%は、特発性(原因不明)といわれています。ただし、特発性の中でも、ストレスや睡眠不足、疲れ、風邪などの感染症、季節の変わり目などをきっかけに出ることが多いといわれています。もちろん、何らかのアレルギー(食べ物や飲み薬など)や日光、寒冷、汗、刺激などが原因で発症することもあります。
検査
問診である程度原因を検索します。疑わしいものがあれば、血液検査(特異的IgE抗体の測定など)を行うこともあります。さらに精度の高い検査となると、プリックテストと呼ばれる検査になります。プリックテストが必要と判断される方につきましては、総合病院や大学病院にご紹介させていただきます。
治療
抗ヒスタミン薬と呼ばれる内服薬が第一選択となります。(もちろん、原因がある場合は、その原因物質の除去になります。)抗ヒスタミン薬にはたくさんの種類がありますので、患者さんそれぞれに合った内服薬を選択する必要があります。それでも改善しない場合は、抗ヒスタミン薬の増量や追加、抗ヒスタミン薬以外の内服薬を追加し、皮疹のコントロールができるように調整していきます。もし改善した場合は、少しずつ内服薬を減量しながら、最終的に内服薬なしでも寛解できるように進めていきます。
ただし、中には色々と内服薬を調整しても、コントロールが難しい患者さんも一定数いらっしゃいます。その場合は、生物学的製剤と呼ばれる注射薬を使用して、コントロールできるように治療します。当院では、生物学的製剤も使用可能ですので、なかなか治らないじんましんの方もぜひご相談ください。